は少し離れた

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 今日も犬の散歩の途中に、木蓮と枯れた木の実の枝を眺める。写真を撮るならどのアングルがいいかなと見ながら、やはり通り過ぎる。今日はポケットにiPhoneだけ。

 どこからか低くリズミカルな声が聞こえていた。最初は、楽器の練習を補助するために拍子を取っているのかと近くの閉ざされた窓を見上げたが、児童公園が近くなるとそれは子どもと遊ぶ若いお父さんの歌声だった。

 とんとんとんとん ひげじいさん
 とんとんとんとん こぶじいさん
 とんとんとんとん てんぐさん
 とんとんとんとん めがねさん
 とんとんとんとん 手はうえに
 キラキラキラキラ 手はおひざ

 シーソーの向かい側に2歳くらいの子供を座らせ、お父さんはリズムに合わせて楽しそうに身体を上下させている。
 なつかしい。「さあ、これから少し静かにしましょうね」という準備のときに幼稚園でよく歌われていた手遊び歌だ。

 日も影って公園にはその親子だけしか居らず、私と犬通りを歩いている。その私達を、それまで黙ってシーソーに乗っていたその子供が目ざとく見つけて、「あ、わんわんだ! わんわんだ!」と大きな声を上げた。すると、すかさずお父さんも「わんわんだ! わんわんだ!」と一緒になって無邪気に言うから、私はなんだか可笑しくて、でもその様子は愛おしくて、そして少し困ってしまう。

 子供が「わんわんだ!」と言うとお母さんが「そうだね、わんわんだね」と応える光景にはよく出会うけれど、ふたりに「わんわんだ!」と言われたのは初めてかもしれない。「そうだよ、わんわんだよ!」 心の中でそう答えながら私は、素知らぬ顔で先を行く「わんわん」の背中を追う。ごめんね愛想がなくて。

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