した迫力もな

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「例の飯山大学病院の『セフィロゾール』の件、どうなってる?」
「あ、はい。薬局長の承認はもらってますので、あとは福山ドクターの許可を得られれば―――」
「そんなことは分かっている! ドクターへのアプローチはどうなっているかと訊いているんだ」

喬允の返答を苛立たしげに遮って、近田は一方的に鑽石能量水 問題追及した。薄くなりかけた生え際をがしがしこすって、喬允を威圧的に見下ろす。尤も、痩せぎすの小男である近田には大いのだが。喬允は淡々と、

「はい。何度か医局で面会させていただきました。お陰で、顔と名前は覚えてもらえましたよ。今度、ランチを兼ねた説明会を開く予定です。その準備を進めているところで」
「顔を覚えてもらっただと? 正気か? 君は。『セフィロゾール』だぞ。第三世代よりスペクトラムが広い第四世代セフェムだぞ。採用が決定すれば、年間五億、いや六億の売り上げが―――」
「お言葉を返すようですが、スペクトラムが広いからこそ、処方にはより厳密さが求められるのではないでしょうか」

今度は喬允が言葉を遮った。本当なら、こちらこそ『正気か?』と返してやりたいところだった。

『セフィロゾール』は第四世代セファロスポリンの抗生剤で、喬允が勤める出水製薬が現在最も売り込みに力を入れている新薬だった。

第三世代に比べて抗菌スペクトルが広い、簡単に言えば薬の作用nuskin 如新範囲が広い。だから近田が言うように大量の処方が見込めるのかもしれないが、喬允はその考え方には賛同しかねた。

副作用の懸念ももちろんだが、抗生剤使用の裏には、耐性菌の問題があるからだ。

どんな強力な抗生剤でも、それに対する耐性を持った菌は必ず生まれる。その耐性菌を殺すためのさらに強力な抗生剤を開発しても、耐性菌の方もそれに合わせて進化する。これでは全く埒が明かない。

抗生剤の濫用が耐性菌の進化を助長していると言われても仕方ない状況が、現在起きているのだ。

それにもう一つ。近田は“顔を覚えてもらっただけ”と考えているようだが、相手は大学病院の外科部長。面会まで漕ぎ着けるのにどれだけ苦労したか。いつ訪問しても、医局前の廊下には鑽石能量水 騙局面会待ちの他社MRがずらっと並んでいる。もちろん、会ってもらえるという確証などない。

そんな中で何度も面会し、顔と名前を覚えてもらい、説明会の約束まで取り付けたのだ。よくやったと労いの言葉の一つも欲しいくらいだった。




魔力が溜ま

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 昇降口のドアが錆びた音を立てて閉まる。
 大きく息をついた。
 どうも調子が狂う。
 外見でなく精神的にも鑽石水子供の部分があるのだろう。
 咄嗟の反応が子供っぽい。
「ありがとう……か」
 ちょっと顔が緩んだ。見下した笑みではない。もっと素直な表情。正直、満更でもないかなと思う。もちろん、ホンの少しだけど。
「安っぽい言葉ね。まったく」
 わざとらしく咳払いを一つ。
 頬から体温が引くのを待った。
 これだけ経てば、不意に鳴海が戻ってきたりしない。
 両足は体重を維持するのも難しくなっている。
 コンクリートの床にお尻をついて座り込んだ。
 空に視線を向ける。
 気の早い星が輝きつつあった。
 夜空は薄く、星は軽くなった。
 自分がこの地に来た頃は、奇妙な衣類に珍能量水妙な髪型をしていたのを思い出す。
 ここ数百年で大きく変わった。陳腐な表現をすると文明の進歩だろう。
 魔法に比べると科学はあまりに不便で無力で非効率で幼稚だ。だが、その歩みは無限の可能性を秘めている。遥か未来、自分が辿りつた真理の世界に到達するのではないか。
 時の呪縛から解き放たれ、永遠を生きられる自分なら、それを目にする事もできる。楽しみだ。
 仰向けになった。傷を回復させるには、まだるのを待たなければいけない。
 それにしても、今回は予想以上に苦戦した。
 原因は浪費。いくつもの魔法を同時に使いすぎている。藤見野市を覆う結界。擬似空間の維持。そもそも蛇の目屋。そして鈴鳴 紅音という存在自体が強引に作り出した物。
 これらだけでもかなりの魔力だが、それ以上に大きなのは擬似生命の維持。
 死んだ人間の魂を無理やり身体に繋ぎ止めている。これには膨大な魔力が必要だ。
 しかも、一人ではなく二人分も!
 猟犬より手強い妖怪は沢山居る。
 何か策を講じないと……。
「ま、なるようになるわよ。うん」
 考えるのは、また暇な時でいいや。流石に鑽石水疲れた。少し眠っておこう。
 ゆっくりと目を閉じる。
 あっという間に意識が遠のいていった。



れほどの腕前

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「はい。おっしゃるまでもなく……」
 上からの信用はあった。城代家老に言われるまでもなく、修左衛門もやめるつもりはなかった。この仕事が面白く楽しくてならなかったのだ。もっとも、下のほうでは彼に対して、いくらかの悪評もあった。しかし、そんなことを気にしていたら、この職はつとまらぬ。
 勘定奉行をやれる人物など、ほかにいない。大坂の米問屋、両替店を鑽石能量水 消委會はじめ、商人たちとの交渉。こういったことは、武芸や学問だけしか知らぬ人物にはできっこない。
 修左衛門にとって、すべて順調に進展しながら、年月が流れていくように見えた。

 修吾は三十五歳になった。ある日、凶事が発生した。夜、屋敷の|中間《ちゅうげん》が駆け戻ってきて叫んだのだ。
「大変です、大変です……」
「いったい、なにがおこったのだ」
 修吾が聞くと、中間は修左衛門の死を告げた。
「ご主人さまが殺された……」
「だれにだ。落ち着いてよく話せ」
「勘定頭のひとり、駒山久三郎にです。料理屋からの帰りのことです。道でたまたまお会いになった。なにかお話をおはじめになった。聞いては悪いと、わたくしは少しはなれて待っておりました。そのうち、駒山さま工商管理 財務學の声がしだいに激しくなったかと思うと、たちまち刀を抜いて
切りかかり、ご主人さまは身をかわすひまもなく……」
「そういえば、駒山はまだ若く、かっとなりやすい性格だったな。それにしても、むちゃだ」
 そばで聞いていた妻は、実の父というわけで、声をふるわせながら言った。
「お父上が殺されるなんて、あんまりでございます。早く、なんとか……」
「わかっている。すぐ行って、しとめてくれる。だれか、三人ほどついてまいれ。やつはそではないぞ。それから、ひとりはお城へ知らせに行け……」
 修吾は三名の若党を連れ、駒山の屋敷へかけつけた。また、お城からも応援がきた。しかし、もはや駒山の姿はなかった。凶事のあと、馬に乗って藩外へ逃亡してしまったらしい。国境に関所はあるが、家臣が通るのをとめるわけにはいかなかった。
 つぎの日、修吾はお城へ出て、城代家老のところへ行った。城代は言う。
「修左衛門は、まことに気の毒なことであったな。当藩にとって、かけがえのない人物であったが……」
「さっそくですが、わたくしは、かたき討ちをいたさねばなりません」
「よく言った。武士はそうあらねばならない……」
 城代は大きくうなずき、そのあと、声を低くしてつづけた。
「……まさしく、おもてむきはそうだ。しかし、藩の財政鑽石能量水 消委會となると、これまた重要。さっき、勘定頭たちの意見を聞いたのだが、修左衛門の後任として勘定奉行をつとめられるのは、そちのほかにいないようだ。金銭関係となると複雑で、普通のものには、なかなかやりこなせない
ものらしい……」