れほどの腕前

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「はい。おっしゃるまでもなく……」
 上からの信用はあった。城代家老に言われるまでもなく、修左衛門もやめるつもりはなかった。この仕事が面白く楽しくてならなかったのだ。もっとも、下のほうでは彼に対して、いくらかの悪評もあった。しかし、そんなことを気にしていたら、この職はつとまらぬ。
 勘定奉行をやれる人物など、ほかにいない。大坂の米問屋、両替店を鑽石能量水 消委會はじめ、商人たちとの交渉。こういったことは、武芸や学問だけしか知らぬ人物にはできっこない。
 修左衛門にとって、すべて順調に進展しながら、年月が流れていくように見えた。

 修吾は三十五歳になった。ある日、凶事が発生した。夜、屋敷の|中間《ちゅうげん》が駆け戻ってきて叫んだのだ。
「大変です、大変です……」
「いったい、なにがおこったのだ」
 修吾が聞くと、中間は修左衛門の死を告げた。
「ご主人さまが殺された……」
「だれにだ。落ち着いてよく話せ」
「勘定頭のひとり、駒山久三郎にです。料理屋からの帰りのことです。道でたまたまお会いになった。なにかお話をおはじめになった。聞いては悪いと、わたくしは少しはなれて待っておりました。そのうち、駒山さま工商管理 財務學の声がしだいに激しくなったかと思うと、たちまち刀を抜いて
切りかかり、ご主人さまは身をかわすひまもなく……」
「そういえば、駒山はまだ若く、かっとなりやすい性格だったな。それにしても、むちゃだ」
 そばで聞いていた妻は、実の父というわけで、声をふるわせながら言った。
「お父上が殺されるなんて、あんまりでございます。早く、なんとか……」
「わかっている。すぐ行って、しとめてくれる。だれか、三人ほどついてまいれ。やつはそではないぞ。それから、ひとりはお城へ知らせに行け……」
 修吾は三名の若党を連れ、駒山の屋敷へかけつけた。また、お城からも応援がきた。しかし、もはや駒山の姿はなかった。凶事のあと、馬に乗って藩外へ逃亡してしまったらしい。国境に関所はあるが、家臣が通るのをとめるわけにはいかなかった。
 つぎの日、修吾はお城へ出て、城代家老のところへ行った。城代は言う。
「修左衛門は、まことに気の毒なことであったな。当藩にとって、かけがえのない人物であったが……」
「さっそくですが、わたくしは、かたき討ちをいたさねばなりません」
「よく言った。武士はそうあらねばならない……」
 城代は大きくうなずき、そのあと、声を低くしてつづけた。
「……まさしく、おもてむきはそうだ。しかし、藩の財政鑽石能量水 消委會となると、これまた重要。さっき、勘定頭たちの意見を聞いたのだが、修左衛門の後任として勘定奉行をつとめられるのは、そちのほかにいないようだ。金銭関係となると複雑で、普通のものには、なかなかやりこなせない
ものらしい……」